の86ページから。
バフェットは、1995年の株主総会で、次のように話している。 「私たちが求めているのは、投資した資金に対して高いリターンを生み出してくれる会社です。しかも、将来にわたってその状況が続くことが大切です。そのために、私が注目するのは、長期的な比較優位性を持っているかどうかです」
つまり、バフェットが興味を持つ会社は、事業の内容が分かりやすいだけではなく、他者を圧倒するような強みを持っている会社なのだ。彼は、その会社が提供できる強みを「比較優位性」と呼び、この力を備えた会社は将来の見通しが明るいと考えている。
反対に、魅力が無い事業を「コモディティ(汎用品)」と呼んでいる。 商品やサービスに際立った特色がないため、すぐに価格競争におちいってしまう事業のこと。 バフェットが考える代表的なコモディティ事業として、ガス、小麦、木材などが挙げられている。 しかし、コモディティ事業は、国によっても、時代によっても異なるだろう。 例えば、日本では、以前は優れた発明品と評価された自動車やパソコンですら、現在、どの会社も差別化するのに苦労している。
比較優位性がある事業とコモディティ事業の違いを理解するために、喫茶店に行ったときのことを思い浮かべてみて。 あなたが、喫茶店に入ってオレンジジュースを頼んだとする。あなたは、ある特定のブランドのオレンジジュースを注文するか。たいていは、「オレンジジュースをください」と頼むのではないだろうか。 そうなると、喫茶店の経営者にとっては、同じ品質のオレンジジュースならどのメーカのでも構わず、しかも安ければ安いほどいいのだ。 みんながこう考えると、オレンジジュースは価格競争におちいってしまう。
一方、コカコーラはどうか。あなたは「コカ・コーラをください」と頼むではないだろうか。 これが比較優位性のある事業。消費者に選ばれる商品や、サービスは価格競争に巻き込まれる心配が無いので、そのぶん利益を上げやすくなる。
コモディティ事業でも、比較優位性を手に入れることはできる。 ウェスタン・ブーツの製造会社、ジャスティン・インダストリーズがよい例。 同社は、2000年にバークシャーが買収した会社。 かつて、ジャスティンの売り上げは、流行に左右されていた。 有名なファッション・デザイナーがウェスタン・スタイルのファッションを取り上げると、ウェスタン・ブーツは飛ぶように売れた。ところが、流行が去ったあとにはきびしい時代が訪れた。 経営者の交代ををきっかけに、同社はリストラに取り組んだ。 無駄なコストを省くために、似たようなデザインを統一し、製造から流通までの流れを大幅に見直した。その一方で、ウェスタン・ブーツの競争力を高めるために、新製品の開発に力を注いだ。 その結果、どん底まで傾いていた業績がふたたび上向いた。 今では、ウェスタン・スタイルのお店を訪れると、「息子用に新しいジャスティンがほしい」という声が聞こえてくるそう。
バフェットは、コカ・コーラやジャステインが備えている比較優位性を「会社を守ってくれる堀」と呼んでいる。そして、将来性の高い会社を見つけるポイントとして、この「堀」の大きさを重視している。
会社の堀が大きければ、たとえ業界の競争がはげしくなっても、多少景気が悪くなっても、その会社は安定した業績を上げることができる。 逆に、堀が小さいと、周りの環境が少しだけ変化しただけでも、会社の存続が危なくなってしまう恐れがある。
どうすれば、「堀」を大きくできるのか。それには、他社に無い強みを持つこと。たとえば、ブランド力がある、独自のビジネスモデルを持っている、デザイン性に優れている、他社より安く販売しても十分な利益を上げられるなど、いろんな強みが考えられる。 そして、競争相手に比べて際立った強みをもてれば、たくさんの人がその商品やサービスを利用するようになり、揺るぎない地位を築ける。
テーマ:株式投資 - ジャンル:株式・投資・マネー
|